

私が担当するDX(デジタル・トランスフォーメーション)に関する講習では、あえて電子ではなく「紙」で運用する方が良い場合もあることをお話しています。
DXの目的は電子化ではなく、業務の効率化と変革によって人間が楽になる仕組みでもあると考えています。
企業向けの講習後のアンケートや感想のなかで、「紙が残ってもいいんですね」「少し気が楽になりました」とのお言葉をいただくことが多くあります。
電子化への取り組みは、実は一般的な正解が存在する話ではなく、各企業の風土や状況に見合ったDXを進めるためにこそ、電子化への取り組みは”0”か“100”のような単純な話ではない、と私は考えておりますので、そのニュアンスをご説明する必要があると考えています。
基本原則として、出来るだけ紙は電子化する、と考えるのがDXの前段階の「デジタイゼーション」の基本的な考え方です。
デジタル化の結果を想像すれば、そのメリットは充分に大きいので、多少の躊躇は踏み越えて電子化に取り組むべきですし、「紙の方が慣れているから」程度の躊躇によってデジタル化を止めるべきではありません。
しかし、デメリットを無視することは避けるべきですし、気が付かなかった紙のメリットを気が付かないまま失ってしまうことも避けるべきだと私は思うのです。
また、デジタル化には操作する「デバイス」が必要となるのですが、デバイスに対する親和性は、人によっても職場の状況によっても差があります。世代間の違いによる「使い慣れていないから」といった状況もあるでしょうし、製造業の現場では紙よりも重く硬い物体が現場の作業感にそぐわない場合もあります。
「慣れ」については「今からでも慣れましょう。そうゆう時代なんですよ。」とお話することもありますが、そもそも「紙」での運用が「人間にやさしい」場合を見過ごしてはならないと考えています。
考え方の手法として、「ストレス」に注目しましょう、とお伝えしています。
「電子データ」の便利さに着目しすぎて、人間が操作する観点を軽視してしまうと、操作にあたって人間が受けるストレスには目が届かないようです。
例えば、現場で動きながら情報を参照する場合、紙は折り畳めますし、タブレット程重くはありません。
落としても机の角に当たったとしても壊れません。書き込みも現在のタブレットよりは容易に書き込めます。
明らかにタブレットよりも人間にやさしいのではないでしょうか?
一方で、暗い場所でもタブレットなら視認性よく情報を確認できます。大きなサイズやページ数の多い情報もタブレットであれば、いくらでもスクロール出来ます。
しかし、この「スクロール」操作が無意識のうちに人間にストレスを蓄積するとしたらどうでしょう?
逆に、一旦デジタル化された業務についても、現場の疲労感や、ストレスを感じている節が見て取れるのであれば、あえて「紙」の運用に戻す、「紙」の運用を挟む検討もするべきなのではないでしょうか?
こういった「操作感」にまで着目して、作業全体で「ストレス」が増えるのであれば、その電子化は見直した方が良いかもしれないのです。
操作感を熟慮しない電子化と、使えない理由の対立で議論するよりも、
ストレスを削減出来る方法としてのDXに着目して、
考え、工夫していただきたいと思っています。
企業・団体向けのセキュリティ・情報リテラシーに関する研修も承っております。
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※会社・団体でのセキュリティおよびデジタル化についての相談は、当社担当営業・システムエンジニア・インストラクター・サービスまでご相談下さい。
■プロフィール

セキュリティ担当 眞部 誠一郎
東京支社においてサーバー・ネットワーク・WEBシステムの構築に携わった後、岡山本社にて中小企業から大企業までネットワーク・サーバー等のITインフラの構築、セキュリティ対策の構築を担当。豊富な知識・経験を生かし幅広く活躍中。