学びの窓(DX編) 第58回 DXの環境は大丈夫?

【学びの窓 (DX編)】第26回 デジタルトランスフォーメーション編が始まります
ピコシステム株式会社

本コラムではセキュリティからDX(デジタル・トランスフォーメーション)に関わる諸々をお伝えしておりますが、ICTを利用する前提条件となる環境が確保されていることが必要です。
皆様の職場はいかがでしょうか?

 


「高機能なICT機器も電気がなければただの箱」です。
私たちはパソコンやスマホが動作し利用出来ている前提で、お客様のお役に立てる提案やサポートをさせていただいておりますが、そもそも使えなければ私達もお手上げです。
災害等の非常時についての注意喚起は 「第56回 使えない想定は?」でお伝えいたしました。
 
  

今回は日常のなかで気になることをお伝えしておきます。
ICTを利用するにあたっての前提条件のうち、三つの点についてお話します。
 

• 電力
  電力供給経路、キュービクル、太陽光発電
• 通信
  通信経路、プロバイダ契約
• 環境
  機器の為と人間の為の防塵と空調

 
 

【電力】

ひと昔前と比べると、停電が少なくなっていることは皆様も感じていらっしゃるのではないでしょうか?
ひと昔前、中電工の方と話す機会がありましたが、市内や工業地帯へは高圧線で電力供給を行っているのですが、事故や落雷、生物(鳥や蛇)による突発的な停止は完全には防げないため、経路の冗長化(複数の送電網での補完)の取り組みが出来上がりつつあるとの話をされていました。
しかし、高圧線=電力の動脈は冗長化出来たとしても、皆様の事業所に至る電柱等の配線は、意図的に二重化しなければ冗長化出来ないのが実情です。
電力供給が死活問題の業種であれば、複数の電柱・電線から供給を受けているケースはあります。
 
また、事業所への給電は「キュービクル」という大きな箱型の受電装置を利用されていることが多いのですが、キュービクルの設置場所については道路からの事故の影響や水没の可能性を考慮する必要があります。
水害で浸水被害が想定される地域では、強固な土台の上にキュービクルを設置している光景を目にすることはあります。
事業所用の太陽光発電の設置も増えてきたように見えます。
弊社の新しい開発センターでも屋根全面に太陽光パネルを設置して、電力消費の大部分を賄うことにしました。
一見建屋の損壊が無い限り、電力供給には困らないと錯覚しがちなのですが、実は、パネルから集電して電力供給に至る間にはキュービクルや専用の装置が必要であり、その装置の設置場所については通常のキュービクルと同様に注意が必要です。
浸水被害で水没すれば、屋根の上の太陽光発電パネルは無事でも電力は供給出来ません。

 

【通信】

今やインターネット接続の多くは光回線を事業所に引き込むことによって接続されていますが、光回線を引き込む経路も、単一経路の場合は電柱が倒れる光ファイバーが切断される、等の事故が発生した場合にインターネットへ接続出来なくなるリスクが伴います。
通信の確保が重要な業種の場合は、異なる電柱から複数の業者の光回線を引き込まれているケースはあります。
プロバイダ契約に関しても、プロバイダ業者の事故による停止のリスクを考慮するならば、複数のプロバイダを契約しておくことは有効です。
NTT系と電力系のプロバイダを並列して導入することをお勧めしています。

 

【環境】

事業所への電力供給は安心出来たとして、皆様が利用する機器への電力供給は大丈夫でしょうか?
最近、電源タップの容量不足(劣化による接触不良を含む)や、電源アダプタ(スマホの充電アダプタ等)の増加によるタコ足配線が増加するなかでコンセントの抜けによるトラブルを目にします。
電源タップの買い直しも検討いただくと良いかもしれません。
熱い夏になり、部屋の温度上昇は人間への影響も当然ですが、機器類に対しても熱さは厳禁です。
故障の原因となったり、性能の低下や異常停止の原因となることもあります。
残念ながら、人間よりもコンピュータの方が熱には弱いかもしれません。
機器の空冷ファンの排出口周辺はふさがないよう、くれぐれもご注意下さい。
 
工場等の現場に設置する機器の場合、防塵対策が必要です。
工場用の特殊仕様の機器であれば問題無いのですが、コスト面を考えて通常仕様の機器を設置する場合は、冷却のための吸気口や換気用の穴が開いている場合は、空気の流入を妨げない防塵対策が必要です。
導入した当初は問題が無くとも、年数が経って埃や粉塵が内部に入ることによる故障や、吸気口を塞ぐことによる熱暴走で機器が故障するケースがあります。
故障対策としても空調防塵にご注意下さい。
 
 
便利であるはずの機器も、皆様の使い方と環境によってはむしろ業務上のリスクとなります。

 
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企業・団体向けのセキュリティ・情報リテラシーに関する研修も承っております。

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※会社・団体でのセキュリティおよびデジタル化についての相談は、当社担当営業・システムエンジニア・インストラクター・サービスまでご相談下さい。
 

 

■プロフィール

ピコシステム株式会社

セキュリティ担当 眞部 誠一郎
東京支社においてサーバー・ネットワーク・WEBシステムの構築に携わった後、岡山本社にて中小企業から大企業までネットワーク・サーバー等のITインフラの構築、セキュリティ対策の構築を担当。豊富な知識・経験を生かし幅広く活躍中。